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パグ飼いやすさはココが盲点!後悔しない選択とは

パグ飼いやすさはココが盲点!後悔しない選択とは
目次

I. はじめに:パグの抗いがたい魅力――しかし、その裏に潜むものとは?

パグ飼いやすさはココが盲点!

パグの人気と愛らしい特徴の紹介

パグは、そのユニークな「つぶれた鼻とシワのある顔立ち」で多くの人々を魅了し、常に人気犬種の上位に名を連ねています 。ジャパンケネルクラブ(JKC)が発表した2023年の犬種別犬籍登録頭数においても第13位と、その人気は根強いものがあります 。ラテン語で「握りこぶし」を意味する犬種名が示すように、丸くて小さな頭部も愛嬌の一つです 。  

その困っているかのような独特の表情は見る人を思わず笑顔にさせ、日常の些細な悩みも吹き飛ばしてくれるかのようです 。実際にパグと暮らす飼い主からは、愛嬌たっぷりの仕草や表情に日々のストレスも忘れてしまうほどの癒やし効果を感じるとの声も聞かれます 。この抗いがたい魅力こそ、多くの人がパグを家族に迎えたいと考える大きな理由でしょう。  

しかし、その愛らしさの裏には、飼い主となる人が知っておくべき大切な側面が隠されていることもあります。この「可愛い」という第一印象が、時にパグを飼う上での重要なポイントを見えにくくしてしまうことがあるのです。多くの人がその外見や人懐っこい性格に心を奪われ、パグ特有のケアの必要性や、かかりやすい病気について十分に理解しないまま飼い始めてしまうケースも少なくありません。その結果、後になって「こんなはずではなかった」と後悔することにも繋がりかねないのです。

本記事の目的:後悔しない選択のために「盲点」を探る

この記事では、パグという犬種の魅力を十分に理解した上で、彼らを家族として迎える際に知っておくべき「盲点」、つまり見落としがちな注意点や課題に焦点を当てていきます。パグは素晴らしい伴侶となり得る犬種ですが、そのユニークな身体的特徴や気質からくる特有のニーズを深く理解し、それに応える覚悟が必要です 。  

「可愛いから」という理由だけで飼い始めて後悔することがないよう、パグとの生活の現実を具体的にお伝えし、読者の皆様が情報に基づいた賢明な選択をするための一助となることを目指します。パグとの生活が、飼い主にとってもパグ自身にとっても、真に豊かで幸せなものとなるために、知っておくべきことを一緒に見ていきましょう。

飼いやすさのイメージと現実のギャップ

一般的に、パグは「吠えることが少なく大人しく、鳴き声も小さいためペット初心者にもおすすめ」と言われることがあります 。確かに、その穏やかな性質は集合住宅での飼育にも向いているとされる理由の一つです 。しかし、その一方で、「しつけ次第でわがままになったり、噛むことが増えたりする」可能性も指摘されており 、実際に飼ってみて「思っていたより飼うのが大変」と感じる飼い主の声も少なくありません 。  

この「飼いやすい」というイメージと、実際に飼育する上での現実との間には、時に大きなギャップが存在します。このギャップこそが、後悔へと繋がる「盲点」となり得るのです。パグの持つ魅力的な側面に目を向けつつも、彼らと幸せに暮らすために乗り越えるべき課題についても、しっかりと理解を深めていくことが重要です。

II. 「飼いやすい」神話の検証:パグの気質と訓練の難易度

「飼いやすい」神話の検証:パグの気質と訓練の難易度
パグ飼いやすさはココが盲点!

パグが「飼いやすい」と言われる背景には、その愛すべき性格があります。しかし、その一方で、見過ごされがちな頑固さや、訓練における特有の注意点も存在します。これらを理解することが、パグとの良好な関係を築く第一歩となります。

A. パグの魅力的な性格:愛情深く、遊び好き、そして穏やか

パグの性格は、多くの飼い主を虜にする魅力に満ちています。明るく陽気で非常に人懐っこく、飼い主や家族と遊ぶことを何よりも喜びとします 。その愛情深い優しい性格は、犬を初めて飼う人にとっても比較的扱いやすいと感じさせる要因の一つでしょう 。  

他の犬やペットに対しても友好的に接することができるため、既に先住犬がいる家庭や、将来的に多頭飼いを考えている家庭にも向いていると言えます 。基本的に穏やかでおおらかな性格の持ち主ですが、同時に遊び心も旺盛で、時にはユーモラスないたずらで家族を笑わせてくれることもあるでしょう 。  

また、一般的に無駄吠えが少なく、吠えたとしてもその鳴き声は比較的小さいため、マンションなどの集合住宅でも飼いやすい犬種として認識されています 。実際に飼い主からも「吠えないし、噛まない」「ムダ吠えもしない」といった声が寄せられており、この点は都市部で犬を飼う上で大きなメリットと感じられるかもしれません 。  

B. 盲点 – 頑固さと訓練の課題

頑固でプライドが高い一面

その愛らしい外見や人懐っこい性格とは裏腹に、パグは時に驚くほど頑固でプライドが高い一面を見せることがあります 。この性質は、訓練において一つの「盲点」となり得ます。甘やかして育ててしまうと、自分の要求を通そうとしたり、飼い主の指示を聞かなくなったりすることがあるため注意が必要です 。  

また、パグは自立心が旺盛な面も持ち合わせており 、自分が納得できない命令や指示に対しては、頑として従わないという態度を示すこともあります 。この「自分を持っている」性格はパグの魅力の一つでもありますが、しつけにおいては飼い主の根気と工夫が求められるポイントです。  

訓練のコツ:一貫性とポジティブ強化

パグのしつけは比較的しやすいと言われることもありますが、前述の頑固な一面を考慮すると、飼い主が一貫した態度で、根気強く向き合う必要があります 。  

最も重要なのは、厳しく叱るのではなく、褒めて伸ばすことです 。パグは感受性が豊かで傷つきやすいため、大声で叱ったり、体罰を加えたりするような方法は逆効果になるだけでなく、飼い主との信頼関係を損なう恐れがあります 。  

飼い主がリーダーであることをパグに理解させ、明確な上下関係を意識させつつも、良い行動をした際には積極的に褒めるというアプローチが効果的です 。訓練は一度に長時間行うのではなく、1回の時間を短く(子犬であれば3分程度とも言われます)、毎日コツコツと続けることが成功の鍵です 。  

ご褒美としておやつを用いる際には、与えすぎに注意が必要です。パグは食欲旺盛で太りやすいため、おやつはあくまで訓練のモチベーションを高めるための少量にとどめ、肥満を招かないよう配慮しましょう 。  

注意すべき行動:嫉妬による無駄吠えや噛み癖

パグは基本的に落ち着いた性格で無駄吠えが少ない犬種とされていますが、嫉妬心が原因で無駄吠えをしてしまうことがあります 。飼い主に構ってもらえない、飼い主の関心が他の人や犬に向いている、といった状況で不安や不満を感じ、そのサインとして吠えることが多いようです 。  

このような嫉妬からくる無駄吠えに対しては、しつけで無理にやめさせようとするよりも、パグとのスキンシップの時間を増やし、愛情を込めて接することで、彼らが安心感を得られるようにすることが解決への近道です 。飼い主からの十分な愛情を感じることで、嫉妬心も和らぎ、無駄吠えが減少することが期待できます。  

また、個体によっては噛み癖が気になる場合もあります。特に子犬の時期は甘噛みも多いですが、成犬になっても続くことがないよう、子犬のうちから「噛んではいけない」ことを優しく、しかし毅然と教える必要があります 。  

興奮のコントロールと社会化の重要性

パグは陽気で遊び好きな性格ゆえに、時に興奮しやすい傾向があります。しかし、短頭種であるパグが過度に興奮すると、呼吸器系に負担がかかり、健康上の問題を引き起こすリスクがあります 。そのため、子犬の頃から「待て」や「ふせ」といった基本的な指示に従い、落ち着いて行動できるように訓練しておくことが非常に重要です 。  

また、早い段階から飼い主以外の人や他の犬、様々な物音や環境に触れさせる「社会化」も大切です 。適切な社会化は、パグが新しい状況に対して過度に興奮したり、恐怖を感じたりすることを減らし、より穏やかで安定した性格を育むのに役立ちます。  

パグの「飼いやすさ」は、その愛情深さや人懐っこさからくるものですが、同時に彼らの感情の豊かさや意志の強さが、飼い主に対してより繊細で根気強い関わりを求めるという側面も持ち合わせています。彼らはただ可愛いだけの存在ではなく、深い愛情と理解をもって接することで、初めてその真価を発揮するパートナーと言えるでしょう。この「愛情深いけれど、相応の関わりを求める」というパラドックスを理解することが、パグとの幸せな生活を送る上での重要な鍵となります。

III. 健康上の注意点:パグのアキレス腱

健康上の注意点:パグのアキレス腱
パグ飼いやすさはココが盲点!

パグの愛らしい外見の裏には、特有の身体構造に起因する様々な健康上の課題が潜んでいます。これらはパグを飼う上で避けては通れない「盲点」であり、飼い主には十分な理解と備えが求められます。

A. 見過ごされがちな負担:病気にかかりやすい犬種であるという現実

パグはそのユニークな身体的特徴、特に短い鼻と顔のシワ、そして突出した眼球などから、他の犬種に比べて様々な病気にかかりやすい傾向があります 。実際に、「最初は可愛いとばかり思っていましたが、頻繁な病院通いで疲れてしまいました」という飼い主の声も聞かれるほどです 。  

統計的にも、パグは病気へのリスクがやや高いとされており 、年間にかかる診療費が他の犬種と比較して高額になるケースも報告されています 。これらの健康問題は、飼い主にとって経済的な負担だけでなく、精神的な負担にも繋がり得るという現実を、パグを家族に迎える前にしっかりと認識しておく必要があります。  

B. 主な健康上の盲点(それぞれの詳細な説明と推奨事項)

パグがかかりやすい代表的な病気について、その原因、症状、そして飼い主ができる対策や注意点を具体的に見ていきましょう。

  1. 呼吸器系の問題(短頭種気道症候群 – BOAS)
    • 症状と原因: パグのような短頭種は、鼻の穴が狭い(外鼻孔狭窄)、気管が細い、喉の奥にある軟口蓋という部分が通常より長い(軟口蓋過長症)といった解剖学的な特徴を持っています 。これらが複合的に関与し、空気の通り道が狭くなることで、いびき、ガーガーという異常な呼吸音、咳、呼吸困難、さらにはチアノーゼ(舌や歯茎が青紫色になる)や失神といった深刻な症状を引き起こすことがあります 。また、効率的にパンティング(浅く速い呼吸)で体温を下げることが苦手なため、熱中症のリスクが非常に高い犬種です 。  
    • 管理と予防: 最も重要なのは体重管理です。肥満は首周りの脂肪を増やし、気道をさらに圧迫するため、症状を悪化させる大きな要因となります 。興奮させすぎると呼吸が苦しくなるため、落ち着いて過ごせる環境を整えることも大切です 。暑い時期の散歩は涼しい時間帯を選び、室内でもエアコンを使用して適切な温度管理を徹底しましょう 。散歩の際には、首に負担がかかる首輪ではなく、気道を圧迫しにくいハーネス(胴輪)の使用が推奨されます 。症状が重い場合には、狭くなった鼻の穴を広げる手術(外鼻孔拡張術)や、長すぎる軟口蓋を短くする手術(軟口蓋切除術)などの外科的治療が必要になることもあります 。  
  2. 皮膚トラブル
    • 症状と原因: パグの顔にある深いシワは、汚れや湿気が溜まりやすく、細菌や酵母菌(マラセチアなど)の温床となり、皮膚炎を引き起こす原因となります 。また、パグは遺伝的に皮膚が弱い傾向があり、アレルギー性皮膚炎やアトピー性皮膚炎を発症しやすい犬種の一つです 。皮膚のバリア機能が低下すると、細菌感染による膿皮症も起こりやすくなります 。さらに、パグは脂性肌で皮脂の分泌が多いため、皮膚がベタつきやすく、これも皮膚トラブルの一因となります 。  
    • ケア方法: 顔のシワの間は、毎日、湿らせた柔らかい布やペット用のウェットティッシュなどで優しく丁寧に拭き取り、清潔に保つことが最も重要です 。シャンプーは、皮膚の状態に合わせて、夏場は月に2回程度、冬場は月に1回程度を目安に、低刺激性のものを選んで行いましょう 。シャンプー剤が残らないように、すすぎは十分に行う必要があります。日々のブラッシングも、抜け毛を取り除き、皮膚への通気性を良くすることで、皮膚病の予防に繋がります。症状が改善しない場合や、痒みが強い場合は、動物病院で薬用シャンプーを処方してもらったり、薬浴などの治療を受けたりすることも有効です 。  
  3. 眼の疾患
    • 症状と原因: パグの大きく突出した眼球は、外部からの刺激を受けやすく、傷つきやすいという特徴があります 。そのため、散歩中に草むらに入ったり、家具にぶつかったりすることで、角膜(眼の表面の透明な膜)に傷がつく角膜潰瘍を起こしやすいです 。また、涙の量が不足したり、涙の質が悪くなったりすることで眼の表面が乾燥し、炎症を起こす乾性角結膜炎(ドライアイ、KCS)もパグに多い眼の病気の一つです 。その他、眼の怪我や感染症、白内障(水晶体が白く濁る病気で、パグでは外傷が原因となることも多い)なども注意が必要です 。涙やけ(涙の成分によって目の下の毛が変色すること)も、見た目の問題だけでなく、皮膚炎の原因になることがあります 。  
    • 保護とケア: 日頃から目の周りを清潔に保ち、目やにが出ている場合はこまめに拭き取ってあげましょう 。散歩の際には、草や木の枝などが目に当たらないように注意深く見守ることが大切です 。目に赤みがある、しょぼしょぼしている、涙や目やにが多い、白く濁っているなどの異常が見られた場合は、自己判断せずに速やかに動物病院を受診しましょう 。  
  4. パグ脳炎(壊死性髄膜脳炎 – PDE)
    • 症状と原因: パグ脳炎、正式には壊死性髄膜脳炎(PDE)と呼ばれるこの病気は、パグに特異的に発生しやすい、原因不明の致死的な脳の炎症性疾患です 。大脳の表面で炎症と壊死が進行し、けいれん発作、ふらつき、まっすぐ歩けない、同じ場所をぐるぐる回る(旋回運動)、視覚障害、性格の変化といった様々な神経症状が現れます 。病気の進行は非常に速く、数週間から数ヶ月で死に至ることも少なくありません 。  
    • 対応: 残念ながら、現在のところパグ脳炎に対する根本的な治療法は確立されていません 。早期発見と早期治療が重要とされていますが、治療は主にステロイド剤や免疫抑制剤などを用いて炎症を抑え、症状の進行を遅らせることを目的とした対症療法が中心となります 。遺伝的な素因も関与している可能性が示唆されていますが、明確な予防法はありません 。疑わしい症状が見られたら、一刻も早く神経科に詳しい獣医師の診察を受けることが重要です。  
  5. 肥満
    • 傾向とリスク: パグは食欲が非常に旺盛で、食べることが大好きな犬種です 。そのため、食事管理を怠るとすぐに太りやすい傾向にあります。肥満は万病の元と言われるように、呼吸器系の疾患(BOASの悪化)、関節への負担増(膝蓋骨脱臼のリスク上昇)、心臓病、糖尿病など、様々な健康問題を引き起こすリスクを高めます 。  
    • 管理: 健康を維持するためには、適切な食事量と運動量のバランスを保つことが不可欠です 。欲しがるままに食べ物を与えたり、おやつを与えすぎたりしないように注意しましょう 。定期的に体重を測定し、理想体重を維持するように心がけることが大切です 。  
  6. 整形外科的問題(膝蓋骨脱臼など)
    • 症状: 小型犬に多い膝蓋骨脱臼(パテラ)は、パグにも見られることがある整形外科的問題です。膝のお皿の骨(膝蓋骨)が正常な位置からずれてしまう状態で、症状としては、後ろ足を時々ケンケンするように持ち上げて歩く、スキップするような歩き方をする、足を引きずるなどが見られます 。  
    • 管理: 体重管理は膝への負担を軽減するために重要です。また、フローリングなどの滑りやすい床材は避け、カーペットを敷くなどして滑りにくい環境を整えましょう。ソファやベッドへの飛び乗り・飛び降りをさせないようにすることも予防に繋がります。症状が重い場合や、痛みが強い場合は、外科手術が検討されることもあります 。  
  7. 変性性脊髄症 (DM)
    • 症状と進行: 変性性脊髄症(DM)は、主に中高齢の犬に見られる、痛みを伴わずにゆっくりと進行する脊髄の病気です。初期には後ろ足の麻痺やふらつきが見られ、徐々に前足にも麻痺が広がり、最終的には起立不能となり、呼吸筋の麻痺に至ることもあります 。パグでの発症も報告されており、多くは8歳から11歳頃に発症し、症状は半年から3年ほどかけて進行すると言われています 。  
    • 診断と管理: 遺伝子検査が診断の一助となることもありますが、確定診断は難しい病気です 。残念ながら、現在のところ根本的な治療法はなく、リハビリテーションや適切な栄養管理、車椅子の使用、排泄の補助など、生活の質(QOL)を維持するための補助的なケアが中心となります 。  

パグの健康問題は、一つ一つが独立しているわけではなく、しばしば相互に関連し合っています。例えば、肥満は短頭種気道症候群(BOAS)を悪化させ、呼吸困難は運動能力を低下させ、それがさらなる体重増加を招くという悪循環に陥ることがあります。また、皮膚疾患や眼の疾患は慢性化しやすく、長期的なケアと治療が必要になることが少なくありません。このような健康問題の連鎖は、飼い主にとってケアの負担を増大させるだけでなく、医療費の面でも大きな影響を与える可能性があります。パグを家族に迎えるということは、単に個々の病気のリスクを理解するだけでなく、これらの問題が複合的に絡み合い、より複雑なケアと経済的負担を伴う可能性があることを認識しておく必要があるのです。

C. 経済的な盲点:高額になりがちな医療費

パグの飼育における大きな「盲点」の一つが、予想以上にかかる可能性のある医療費です。前述の通り、パグは様々な病気にかかりやすい犬種であり、その治療には相応の費用が必要となります。

ある調査では、パグの年間診療費は他の小型犬種と比較して高額になる傾向が示されており、例えばミニチュア・ダックスフントの年間診療費の中央値が約5万円であるのに対し、パグは約10万円と、2倍程度の差が出るケースも報告されています 。  

特に、パグ脳炎(壊死性髄膜脳炎)のような重篤な神経疾患の治療には、年間数十万円単位の費用がかかることも珍しくありません 。また、軟口蓋過長症などの短頭種気道症候群に対する外科手術も、数十万円程度の費用が必要となる場合があります 。  

実際にパグを飼っている方からは、「頻繁な病院通いで疲れてしまった」、「検診や注射など、動物病院に通う頻度が多い」 といった声も聞かれ、医療費の負担が精神的なストレスに繋がることも少なくありません。  

以下に、パグに比較的よく見られる病気の年間治療費の目安をまとめました。ただし、これらはあくまで一般的な目安であり、個々の症状の重症度や治療内容、動物病院によって費用は大きく変動する可能性があることをご理解ください。

パグの主な病気と年間治療費の目安

病名主な症状・概要年間治療費の目安(日本円)
短頭種気道症候群 (BOAS)いびき、呼吸困難、咳など。重症時は外科手術(外鼻孔拡張術、軟口蓋切除術など)が必要。手術の場合:数万~10万円以上
皮膚炎(アレルギー性、マラセチア性など)強いかゆみ、脱毛、フケ、皮膚の赤みやベタつき。慢性化しやすく、長期的な投薬や食事療法、薬用シャンプーなどが必要。約29,000円~(マラセチア性皮膚炎)
乾性角結膜炎 (KCS/ドライアイ)目をしょぼしょぼさせる、粘度の高い目やに、目の充血。多くの場合、生涯にわたる点眼治療が必要。約42,000円~
パグ脳炎 (壊死性髄膜脳炎 PDE)けいれん、旋回運動、視覚障害など。進行性で予後不良。ステロイドや免疫抑制剤による対症療法が中心。数十万円~
膝蓋骨脱臼(パテラ)後ろ足のケンケン歩き、スキップ。重症度により内科的治療(鎮痛剤、サプリメント)または外科手術。約89,000円~(手術含む場合あり)
膀胱結石血尿、頻尿、排尿困難。食事療法、内服薬、場合によっては外科手術による結石除去。約100,000円~(手術含む場合あり)
細菌性外耳炎耳を痒がる、頭を振る、耳垢の増加、悪臭。点耳薬、耳洗浄。約13,860円~21,000円

これらの費用はあくまで一例であり、複数の病気を併発した場合や、長期的な治療が必要になった場合は、さらに高額になる可能性があります。ペット保険への加入も一つの選択肢ですが、保険の種類や補償内容をよく理解し、パグ特有のリスクをカバーできるか確認することが重要です。パグを家族に迎えるということは、このような潜在的な医療費についても十分に考慮し、経済的な準備をしておく必要があるのです。

IV. パグとの日常生活:無視できないケアのルーティン

パグとの日常生活:無視できないケアのルーティン
パグ飼いやすさはココが盲点!

パグとの生活は、その愛らしさから多くの喜びを与えてくれますが、同時に彼らの特有な身体的特徴に起因する、日々の細やかなケアが不可欠です。これらは「可愛いから」だけでは乗り越えられない、飼い主の責任と愛情が試される日課と言えるでしょう。

A. 温度管理 – 妥協は許されない必須事項

パグにとって、適切な温度管理は生命線とも言えるほど重要です。彼らはその短い鼻の構造上、体温調節が非常に苦手で、特に暑さには極端に弱い犬種です 。体内の熱を効率よく放出することが難しいため、日本の夏のような高温多湿の環境では、室内であっても容易に熱中症に陥ってしまう危険性があります 。  

夏場は、エアコンを使用して室内を常に25度以下、できれば23度前後に保つことが推奨されます 。冬場も寒さが苦手なため、暖房器具を適切に使用し、室温を20~23度程度に調整してあげましょう 。飼い主が不在にする留守番中であっても、エアコンや暖房を切らずに稼働させておくことが、パグの健康を守るためには必須です 。  

散歩に関しても、季節に応じた配慮が欠かせません。夏の散歩は、日中の暑い時間帯を避け、比較的涼しい早朝や日が落ちてからの時間帯を選びましょう。アスファルトの照り返しによる熱もパグにとっては大きな負担となるため、地面の温度にも注意が必要です 。逆に冬の寒い時期の散歩では、保温性のある洋服を着せるなどの防寒対策を施してあげると良いでしょう 。  

そして、絶対に避けなければならないのが、車内への置き去りです。短時間であっても、夏場の車内温度は急上昇し、パグにとっては命に関わる事態になりかねません 。この温度管理の徹底は、パグの飼い主にとって一年を通して続く、気の抜けない重要な日課なのです。  

B. グルーミングの盲点

パグのグルーミングは、単に見た目を綺麗に保つだけでなく、健康維持に直結する重要なケアです。見落としがちなポイントをしっかり押さえておきましょう。

  1. 顔のシワのケア:毎日の清掃が感染予防の鍵 パグの最も特徴的な部分である顔のシワは、実は汚れや湿気が非常に溜まりやすい場所です。食べ物のカス、涙、皮脂などがシワの間に挟まり、そのまま放置すると細菌や酵母菌が繁殖し、皮膚炎や不快な臭いの原因となってしまいます 。 このシワのケアは、毎日欠かさず行うことが理想的です。湿らせた柔らかい布や、アルコール分の含まれていないペット用のウェットティッシュなどを使って、シワとシワの間を優しく丁寧に拭き取ってあげましょう 。汚れがひどい場合は、ぬるま湯で湿らせたコットンや綿棒を使うのも効果的ですが、皮膚を傷つけないように力加減には十分注意が必要です 。拭いた後は、湿気が残らないように乾いた布で軽く押さえることも大切です。この毎日のひと手間が、パグを皮膚トラブルから守る鍵となります。  
  2. 抜け毛:ダブルコートからの大量の抜け毛との戦い パグは短毛種ですが、意外にも抜け毛が非常に多い犬種です 。その被毛は、硬く短い上毛(オーバーコート)と、柔らかく密生した下毛(アンダーコート)の二重構造(ダブルコート)になっているため、特に春と秋の換毛期には驚くほどの量の毛が抜け落ちます 。 この大量の抜け毛を放置すると、皮膚の通気性が悪くなり皮膚病の原因になったり、部屋中に毛が舞い散って掃除が大変になったりします。そのため、理想的には毎日、少なくとも週に数回はブラッシングを行い、死毛(抜け落ちるべき毛)を取り除いてあげることが推奨されます 。ブラッシングには、皮膚を傷つけにくいラバーブラシや、被毛に艶を与える獣毛ブラシなどが適しています 。 実際にパグの飼い主からは、「毛が抜けるのでお掃除したりするのが大変です」「抜け毛もすごいので、掃除が本当に大変」といった声が多く聞かれ 、この抜け毛の多さは、パグを飼う上での大きな「盲点」の一つと言えるでしょう。抜け毛対策として、体にフィットする洋服を着せるのも、毛の飛散を抑えるのに有効な手段です 。  
  3. 入浴と体臭管理:パグ特有の臭いと上手に付き合う パグは皮脂の分泌が比較的多い犬種であるため、他の犬種に比べて体臭が強くなりがちです 。また、顔のシワに溜まった汚れや、皮膚炎なども不快な臭いの原因となることがあります 。 体臭を管理するためには、定期的なシャンプーが効果的です。ただし、シャンプーのしすぎは皮膚に必要な油分まで奪ってしまい、かえって皮膚を乾燥させたり、バリア機能を低下させたりする可能性があるため注意が必要です。一般的には、月に1~2回程度のシャンプーが目安とされています 。シャンプー剤は、パグのデリケートな皮膚に配慮し、低刺激性のものを選びましょう。シャンプー成分が皮膚に残らないように、すすぎは念入りに行うことが大切です 。 日常的な汚れが気になる場合は、シャンプーの代わりに、固く絞った蒸しタオルで体全体を拭いてあげるだけでも、ある程度の汚れと臭いを抑えることができます 。また、食事内容が体臭に影響を与えることもあるため、バランスの取れた質の良いフードを選ぶことも間接的な臭い対策に繋がります 。部屋の換気をこまめに行ったり、ペット用の消臭剤を適切に活用したりすることも、快適な室内環境を保つ上で役立ちます 。  
  4. デンタルケア:歯周病になりやすい傾向 パグは顎が小さく、歯が密集して生えているため、歯並びが悪くなりやすい傾向があります。そのため、食べ物のカスが歯と歯の間や歯周ポケットに残りやすく、歯垢や歯石が付着しやすい環境にあります 。これを放置すると、歯肉炎や歯周病といった口内トラブルを引き起こすリスクが高まります。歯周病は、口臭の原因になるだけでなく、進行すると歯が抜け落ちたり、全身の健康に悪影響を及ぼしたりすることもあります。 そのため、パグのデンタルケアは非常に重要です。理想的には毎日、少なくとも週に2~3回は歯磨きを行う習慣をつけましょう 。犬用の歯ブラシと、犬が好むフレーバーの歯磨きペーストを使用し、優しく丁寧に磨いてあげることが大切です。子犬の頃から口周りを触られることに慣らし、歯磨きを楽しい時間として認識させることが、継続的なケアを成功させるコツです。定期的な動物病院での歯科検診も、歯周病の早期発見・早期治療に繋がります 。  

C. 運動の必要性:適度な運動が心身の健康と体重管理の鍵

パグは小型犬でありながら、意外と活発で運動を好む一面があります。しかし、同時に食欲旺盛で太りやすい体質でもあるため、適切な運動は肥満を防止し、心身の健康を維持する上で欠かせません 。  

一般的に、1日に2回、それぞれ20分から30分程度の散歩が目安とされています 。ただし、前述の通りパグは暑さにも寒さにも弱いため、夏場は涼しい時間帯を選び、冬場は防寒対策を施すなど、気候に応じた配慮が必要です 。激しい運動や長時間の運動は、短頭種であるパグの呼吸器系に大きな負担をかける可能性があるため、無理のない範囲で行うことが大切です 。  

散歩は、単に体を動かすだけでなく、外部の刺激に触れることでストレスを発散させたり、社会性を育んだりする効果もあります 。天候が悪くて散歩に行けない日には、室内でボール遊びや知育トイを使った遊びを取り入れるなどして、運動不足にならないように工夫しましょう 。  

D. 仲間意識と孤独:人間との触れ合いを求める心

パグは非常に愛情深く、飼い主や家族との時間を何よりも大切にする犬種です 。その甘えん坊で寂しがり屋な一面は、パグの大きな魅力の一つでもあります 。彼らは常に人のそばにいたがり、家族の一員として扱われることを望んでいます。  

そのため、長時間一人で留守番をさせられることは、パグにとって大きなストレスとなる場合があります 。もちろん、個体差や慣れ具合にもよりますが、できる限り一緒に過ごす時間を確保し、日頃から十分なスキンシップを取り、愛情を込めて接してあげることが、パグの精神的な安定にとって非常に重要です 。  

パグとの生活は、これらの日々のケアを積み重ねることによって成り立っています。それは単なる「お世話」ではなく、パグの健康と幸せを守るための「愛情表現」とも言えるでしょう。温度管理、顔のシワの清掃、抜け毛対策、適切な運動、そして何よりも大切な心の触れ合い。これら全てが、パグという犬種が持つ特有のニーズに応えるための「ハイタッチ」な日常であり、他の小型犬とは異なる、より密度の濃い関わりを飼い主に求めるのです。この点を理解し、受け入れる覚悟があるかどうかが、パグとの幸せな共生のための分かれ道となるかもしれません。

以下に、パグの日常的なケアタスクのチェックリストを示します。これはあくまで一般的な目安であり、個々のパグの状態や獣医師の指示に従って調整してください。

パグのケアタスク チェックリスト

タスク頻度主要な考慮事項・パグにとっての重要性
顔のシワの清掃毎日汚れや湿気による皮膚炎、感染症、臭いを予防する。
ブラッシング(被毛)毎日(特に換毛期)大量の抜け毛を除去し、皮膚の通気性を保ち、皮膚病を予防する。
室温の監視・調整毎日(常時)熱中症や体調不良を防ぐため、パグにとって快適な室温(夏25℃以下、冬20-23℃目安)を維持する。留守番中も必須。
運動(散歩・室内遊び)毎日(1日2回目安)肥満防止、ストレス発散、心身の健康維持。ただし、気候や体調に合わせ、呼吸器に負担をかけない範囲で。
眼のチェック・清掃毎日突出した眼球は傷つきやすく、ドライアイや感染症のリスクがあるため、目やにや充血の有無を確認し、清潔に保つ。
デンタルケア(歯磨き)毎日(理想)歯周病になりやすいため、歯垢・歯石の付着を防ぐ。
耳のチェック・清掃週に1回程度垂れ耳は通気性が悪く、外耳炎になりやすいため、汚れや臭いを確認し、必要に応じて清掃する。
入浴(シャンプー)月に1~2回程度皮脂が多く体臭が出やすいため、低刺激シャンプーで清潔を保つ。洗いすぎは皮膚の乾燥を招くため注意。
爪切り月に1~2回程度伸びすぎた爪は歩行に影響したり、折れたりする危険があるため、定期的にカットする。

このチェックリストは、パグとの生活がいかに多くの注意深いケアを必要とするかを示しています。これらのタスクを愛情を持って継続できるかどうかが、パグを飼う上での重要な判断基準となるでしょう。

V. 先輩オーナーの声:パグを飼って初めて知ったこと

先輩オーナーの声:パグを飼って初めて知ったこと
パグ飼いやすさはココが盲点!

パグを家族に迎えた先輩オーナーたちの声は、これからパグを飼おうと考えている人にとって、何よりも貴重な情報源となります。彼らが実際に体験した「思っていたより大変だったこと」と「思っていたより飼いやすかったこと」を知ることで、より現実的なイメージを持つことができるでしょう。

「思っていたより大変」と感じる点

多くの飼い主が、パグとの生活の中で予想外の困難に直面することがあります。

  • 健康問題と医療費: 「よく皮膚が荒れて動物病院のお世話になったり…大変です」。パグ特有の皮膚の弱さや、顔のシワの管理の難しさを実感する声は少なくありません。また、「検診や注射など、動物病院に通う頻度が多い」 という意見や、「最初は可愛いとばかり思っていましたが、頻繁な病院通いで疲れてしまいました」 という体験談からは、医療費だけでなく、精神的な負担も大きいことが伺えます。実際に、パグの医療費は他の犬種に比べて高額になる傾向があり、この点は多くの飼い主にとって予想外の負担となるようです 。  
  • 日常のケア: 「毎日の顔のしわのお手入れ、温度の調節など」 といった、パグ特有のケアが日々のルーティンに加わることへの大変さを挙げる声もあります。これらは些細なことのように思えるかもしれませんが、毎日となると相応の時間と労力が必要です。  
  • 抜け毛: 「毛が抜けるのでお掃除したりするのが大変です」「抜け毛もすごいので、掃除が本当に大変」。短毛種であるにも関わらず、パグの抜け毛の多さは想像以上で、掃除の手間が大きな負担になっていると感じる飼い主は多いようです。  
  • しつけと性格: 「パグはおとなしい性格だと思っていたが、今の子は暴れん坊でソファや壁、ドアまでボロボロにした」 というように、個体差によっては活発すぎたり、いたずらが多かったりすることもあるようです。また、頑固な一面から「トイレトレーニングが思ったよりうまくいかない」 といったしつけの難しさを感じる声も聞かれます 。  
  • 生活への影響と介護: 「どれだけ体調が悪くても、お世話をしないといけないし、気軽に家をあけることができない」 というように、犬中心の生活になることへの覚悟も必要です。そして、犬が高齢になった際の介護の問題は、多くの飼い主が直面する現実です。「最期の介護が本当に大変だった。排泄のケア、歩けなくなったときのケア、その他もろもろ。いなくなったあとの感情の処理も大変」 という言葉には、深い愛情と共に、介護の過酷さが滲み出ています。  

「思っていたより飼いやすい」と感じる点

一方で、パグとの生活が予想以上にスムーズに進んでいると感じる飼い主もいます。

  • おとなしさ、吠えにくさ: 「トイレもしっかり覚えたし、全然吠えない」、「吠えないし、噛まない」、「ムダ吠えもしない」 といった声は、パグの穏やかな性質を裏付けています。集合住宅での飼育を考えている人にとっては、非常に心強い情報でしょう。  
  • コミュニケーション: 「トイレや散歩のときの意思疎通など、比較的すぐにできるようになった」 というように、賢く、飼い主の意図を理解しようとする姿勢が見られることもあります。  
  • 他の犬との関係: 「散歩のときに、ほかの犬にケンカを売らないから助かる」 という意見は、多頭飼いやドッグランの利用を考えている人にとって安心材料となるかもしれません。  
  • 生活への良い影響: 「犬の散歩があるおかげでダラダラしなくなったし、運動不足解消にもなったのでいいことだらけ」 というように、パグとの生活が飼い主自身のライフスタイルに良い変化をもたらすこともあります。  

総括:大変なこともあるけれど、それ以上の可愛さ

アンケート結果などを見ると、半数以上の飼い主がパグの飼育を「思っていたより大変」と感じている一方で、「大変なこともあるけれど、それも含めてかわいい」という意見も非常に多く聞かれます 。ある飼い主は、「大変なこともあるけど、それ以上のかわいさがあるから、全然気にならないって思った」と語っています 。  

これらの声から見えてくるのは、パグの飼育には確かに多くの手間や困難が伴うものの、それを補って余りあるほどの愛情や喜びを飼い主にもたらしてくれる存在であるということです。パグは、飼い主が当初抱いていた「小型犬だから手がかからないだろう」といった期待とは異なる現実を突きつけるかもしれません。しかし、その特有のニーズを理解し、献身的にケアを続ける中で育まれる深い絆と、パグならではのユニークな魅力が、多くの飼い主にとって「大変さ」を乗り越える原動力となっているのです。「飼いやすさ」という言葉の尺度は、客観的な手間のかからなさだけでなく、その大変さをも受け入れられるほどの強い愛情や、共に暮らす喜びといった主観的な満足度によっても大きく左右されると言えるでしょう。

VI. 後悔しない選択のために:パグは本当にあなたに合っている?

後悔しない選択のために:パグは本当にあなたに合っている?
パグ飼いやすさはココが盲点!

パグとの生活は、かけがえのない喜びをもたらしてくれる一方で、相応の覚悟と準備が必要です。後悔のない選択をするためには、パグという犬種の特性を深く理解し、ご自身のライフスタイルや価値観と照らし合わせて慎重に判断することが何よりも大切です。

主要な「盲点」と必要な覚悟の再確認

これまで見てきたように、パグの飼育にはいくつかの「盲点」が存在します。これらを改めて確認し、ご自身がそれらを受け入れ、対応できるかを考えてみましょう。

  • 健康問題と医療費: パグは、呼吸器系の疾患(短頭種気道症候群)、皮膚トラブル、眼の疾患、そして特有のパグ脳炎など、様々な病気にかかりやすい犬種です。これらは慢性化しやすく、長期的な治療や高額な医療費が必要となる場合があります。これらのリスクを理解し、万が一の際に適切な医療を受けさせられる経済的・精神的な準備がありますか?
  • 特有のケア: 顔のシワの毎日の清掃、一年を通じた徹底した温度管理、そして想像以上の抜け毛対策など、パグならではのケアが日常的に求められます。これらの細やかなケアを、愛情を持って継続的に行う時間と労力を確保できますか?
  • 頑固さを考慮したしつけ: 愛情深い一方で、頑固でプライドが高い一面も持つパグには、一貫性のあるポジティブな方法での根気強いしつけが必要です。叱るのではなく褒めて伸ばす、しかし甘やかしすぎないというバランスの取れた接し方ができるでしょうか?
  • 生活へのコミットメント: パグは寂しがり屋で、飼い主との触れ合いを強く求める犬種です。また、日々のケアや適切な運動も欠かせません。ご自身の生活スタイルの中で、パグのために十分な時間を割き、彼らのニーズに応え続ける覚悟がありますか?

これらの点を総合的に考え、パグを終生飼養する責任を果たせるかどうかを自問自答することが、後悔しないための第一歩です。

責任あるブリーダー選び、または保護犬という選択肢の重要性

パグを家族に迎える際には、どこから迎えるかという点も非常に重要です。遺伝性疾患のリスクを少しでも減らすためには、その犬種の特性や遺伝的背景をよく理解し、健全な繁殖を心がけている信頼できるブリーダーから迎えることが望ましいでしょう 。ブリーダーは、親犬の健康状態や性格、子犬の社会化の状況などについて詳しい情報を提供してくれるはずです。  

また、保護犬という選択肢もぜひ検討してみてください。様々な理由で新しい家族を待っているパグたちがいます。保護犬を迎える場合は、その子のこれまでの経緯や健康状態、性格などを保護団体やシェルターのスタッフからよく聞き、理解した上で、愛情を持ってケアしていく覚悟が必要です。

適切な理解、準備、ケアがあれば素晴らしい伴侶に

パグの飼育には確かに多くの課題がありますが、それらを乗り越える覚悟と準備、そして何よりも深い愛情があれば、パグは最高の家族の一員となってくれます。実際にパグと暮らす多くの飼い主が、「パグとの生活は、毎日が笑顔と癒やしに包まれている」、「パグの魅力を理解し、適切なケアを行うことで、素晴らしい家族の一員となる」 と感じています。  

ある飼い主は、「大変なことには変わりがないが、1日2回の散歩など、犬中心の生活が当たり前になるので、大変だとは思わなくなった。むしろ犬の散歩があるおかげでダラダラしなくなったし、運動不足解消にもなったのでいいことだらけ」 と語っており、パグとの生活が飼い主自身にも良い影響を与えることもあるのです。  

パグの「飼いやすさ」とは、決して「手がかからない」という意味ではありません。むしろ、彼らの特有のニーズを深く理解し、それに応えるための努力を惜しまない飼い主にとってのみ、その真の「飼いやすさ」、つまり「共に生きる喜びと満足感」がもたらされるのです。この「条件付きの飼いやすさ」を理解することが、パグとの幸せな未来を築く上で最も重要な「盲点」の克服と言えるかもしれません。

情報に基づいた愛情ある決断を

パグを家族に迎えるという決断は、大きな喜びと共に、生涯にわたる重い責任を伴います。この記事を通じてお伝えしてきたパグの「盲点」が、皆様にとって、より深くパグという犬種を理解し、ご自身とパグ双方にとって最良の選択をするための一助となれば幸いです。情報に基づいた愛情ある決断が、あなたと未来のパグとの間に、かけがえのない絆を育むことを心から願っています。

VII. あなたのパグのための推奨製品

あなたのパグのための推奨製品
パグ飼いやすさはココが盲点!

このセクションでは、パグ特有のニーズに対応し、日々のケアをサポートするための具体的な製品を紹介します。これらはあくまで一例であり、個々のパグの健康状態やアレルギーの有無、そして獣医師の推奨を最優先に、最適なものを選択することが重要です。製品を選ぶという行為自体が、パグの健康管理への積極的な関与であり、見過ごしがちなニーズへの対策とも言えます。一般的な犬用製品で十分だろうと考えるのではなく、パグの特性に合った製品を選ぶことが、彼らの快適な生活に繋がります。

A. 皮膚ケア用品

パグのデリケートな皮膚と特徴的なシワのケアは、健康維持の基本です。

  • 敏感肌用シャンプー: パグは皮膚がデリケートで、アレルギーや皮膚炎を起こしやすい傾向があるため、シャンプー選びは慎重に行う必要があります 。低刺激性で、皮膚のバリア機能をサポートする成分が含まれているものが望ましいでしょう。
    • 製品例:カモス 敏感肌にもやさしいシャンプーセット』(シャンプーN480ml + トリートメントL480ml)。この製品は、短毛種向けに開発され、ヒアルロン酸などの保湿成分を配合し、無香料・無着色・弱アルカリ性といった特徴があり、敏感肌のパグに適している可能性があります。  
    • 選ぶポイント: 獣医師に相談の上、愛犬の皮膚の状態に合ったものを選びましょう。洗浄力が強すぎるものや、香料・着色料が多く含まれるものは避けるのが無難です。
  • 顔のシワ用クリーナー: 毎日のシワ掃除は欠かせません 。安全かつ効果的に汚れを拭き取れる専用の製品が便利です。

B. 抜け毛対策用品

パグの大量の抜け毛と上手に付き合うためには、適切なブラッシングツールが不可欠です。

C. 食事管理用品

肥満になりやすく、皮膚トラブルも抱えやすいパグには、食事内容への配慮が重要です。

  • 体重管理・皮膚ケア用ドッグフード: 低カロリー・高タンパクで、皮膚の健康をサポートするオメガ3脂肪酸やオメガ6脂肪酸、ビタミン、ミネラルなどがバランス良く配合されたフードが望ましいでしょう。
    • 製品例:モグワン』は、体重管理、皮膚や目の健康維持をサポートする栄養バランスを特徴として宣伝されています 。また、Amazonなどのオンラインストアでは、様々なブランドからパグに適した体重管理用や皮膚ケア用の療法食・総合栄養食が販売されています 。  
    • 選ぶポイント: まずは獣医師に相談し、愛犬の年齢、活動量、健康状態、アレルギーの有無などを考慮して最適なフードを選びましょう。原材料や成分表示をよく確認することも大切です。

D. 暑さ対策用品

暑さに極端に弱いパグのために、夏場の快適な環境作りは必須です。

  • クールマット: 室内での熱中症対策として、体温を効果的に下げることができるクールマットは非常に役立ちます。ジェルタイプや接触冷感素材のものなど、様々な種類があります。
    • 製品例: Amazonなどのオンラインストアで、『Angelpet ペットひんやりマット』 をはじめとする多数のクールマットが販売されています 。  
    • 選ぶポイント: パグが安全に使用できる素材か(噛み癖がある場合は特に注意)、お手入れのしやすさ、冷却効果の持続時間などを考慮して選びましょう。

E. デンタルケア用品

歯周病のリスクが高いパグには、日々のデンタルケアが欠かせません。

これらの製品は、パグとの生活をより快適で健康的なものにするためのツールです。しかし、最も大切なのは、製品に頼りきりになるのではなく、飼い主自身がパグの特性を理解し、日々の観察と愛情のこもったケアを続けることです。製品を上手に活用しながら、パグとの絆を深めていってください。

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